2009/08/19

会長挨拶

大瀧妙子

ビルマ難民は奪われた人々です。

ビルマ国内では、自由を、人権を、学び働く喜び、家族や友人に囲まれて暮らす楽しみを奪われています。また、日本では多くの難民認定申請者が入管の収容によって自由を奪われ、働く自由、医療を受ける権利、自分の生活を楽しむ権利を奪われています。それどころか、人間としての生きる喜びすら奪われているのです。

わたしたち「在日ビルマ難民たすけあいの会」の目標は、これらビルマ難民たちが奪われたものを精一杯取り返すことにあります。自由、健康、心のぬくもり、人間にとって生きるために必要なものすべてにおいて、会員たちが満たされるように。それがBRSAのたったひとつの願いなのです(「在日ビルマ難民」とは、自分の命を守るためにビルマから日本に逃れてきた人々を指し、日本政府により難民と認定された者、難民申請中の者なども含まれます)。

わたしたちはこの目標のためにこの1年全力を尽くしました。「ビルマ難民と日本人で創る民主化のためのセーフティネット」の標語のもとに行われたそれらの活動は、次の5つに分けることができます(詳しくは活動報告をご覧ください)。

 1) 入管収容者の支援(保証金貸与、保証人引き受け、面会活動)。

2) 難民の生活・医療支援(相談、経済的支援、講演会)。

3) レクリエーション活動(ビルマのお祭りへの参加、バス旅行)。

4) 民主化活動への参加(他のビルマ民主化団体との協力、デモ活動への参加)。

5) ビルマのサイクロン被災者への支援。

これらの活動に加えて、わたしたちの会には特筆すべき点があります。それは標語にもあるように、この会がビルマ難民と日本人との協力関係によって運営されていることです。わたしたちがこの会で産み出そうとしているのは「助ける者」と「助けられる者」の一方的な関係なのではありません。対等に、そして相互に助け合う関係、まさしくこれが「たすけあいの会」の目指すものなのです。

ですが、日本人とビルマ難民は、言葉も違えば、生まれ育った文化も違います。時には激しい議論、厳しい対立が生まれることがあります。これは本当に大変なことですが、大変だからこそ意義深いとわたしは考えています。なぜなら、意見の対立をとことん言葉によって解決する姿勢こそ、民主主義の基本だからです。わたしたちの会は、民主化を支援するというだけでなく、会の運営そのものが民主主義を実地に学ぶ場となっているのです。

このように2008年度のBRSAはさまざまな面で充実した活動を行いました。ですが、まだ十分ではありません。

難民認定申請者の収容、警察による逮捕はいまだ止みません。わたしたちはこのような非人道的な行いがなくなるよう、粘り強く訴えなくてはなりません。

また、新たな在留制度が進行しています。これについても難民の視点から批判検討する必要があります。

BRSAが行った保証金の支援に対し、生活費・医療費の支援は非常にわずかな割合しか占めていません。難民認定申請者の現状を考えると、まったく不十分です。生活や病に悩む人々をどう支援するか、これは2009年度も大きな課題です。

ビルマ難民の生活の改善には、日本人の理解が不可欠ですが、そのためにはまだまだすべきことがあります。なによりも日本人の会員、理解者の増加が急務です。

それと同時に、法務省、入国管理局に対して、あるいは日本政府、メディアにこれまで以上にビルマ難民の声を伝えていかなくてはなりません。日本社会がビルマ難民に関心を寄せれば寄せるだけ、難民の生活の質は向上するのです。そのためには、わたしたちの会もまた、日本社会に信頼されるようなしっかりした運営を行わなくてはなりません。

2008年はBRSAの足場が固まった年でした。2009年はその足場をさらに強固にしつつ、法務省や日本政府、あるいは日本社会全体の中で、BRSAの存在感が強まる年となるよう、会員全員で力を合わせてがんばりましょう。

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