2009/10/22

第1回ワークショップ資料

BRSAワークショップ・聞くことからはじめるビルマ難民ソーシャルワーク
第一回「証言・軍事政権下での生活と民主化デモ〜ビルマ難民の原因」2009年10月18日

イントロダクション
熊切拓

1)ワークショップの趣旨〜2つのねらい
 ①ビルマ難民から実際に話を聞くという作業を体験する。
 ②ビルマ難民発生の原因のひとつである1988年の民主化デモについて話を聞く。

2)難民の話を聞く
①少なくとも2000人以上の難民認定申請者。しかも、難民(申請者)の数は増加傾向にある。

②これら難民たちは日本でさまざまな問題に直面している。
難民認定申請、医療、労働、入管への収容、教育、こども、女性問題etc
⇒難民認定のための支援、公的扶助や医療を受けるための支援、収容者への支援、生活問題への支援の必要

③ビルマ難民の話を「聞く」技術の重要性。
これらの支援は、必要な知識も、支援技術も異なるが、その基礎にあるのは「難民が何を訴え、何を必要としているか」について話を聞くこと。
いっぽう、ビルマ難民にとっても、自分の体験を日本人に理解できるよう語ることは重要。

④今回の目標は「難民から話を直に聞く」という作業を体験してみる。(生の証言、資料にあたることの重要性)

ポイント
・ビルマ難民の日本語能力はさまざま。相手の話を理解し、また自分の問いを理解してもらうためには、相手の日本語能力を見極めて、それに応じて表現を変えたりすることが必要。

・ただ単に聞くのではなく、相手と協力して事実を掘り出し構成していくことが重要。話すことによって相手を消耗させるのではなく、相手を元気づける作業。

3)1988年8月8日の8888民主化要求デモについて聞く
①1988年の民主化デモは、ほとんどすべてのビルマ国民の人生を大きく変えた出来事。
在日ビルマ難民の年齢は30代〜40代が中心。1988年の民主化要求デモ当時、高校生・大学生だった人々。8888民主化活動の担い手はこれらの学生たちだった。→今もその影響は続いている。

②証言の重要性
8888デモに関しては、何冊か本も出ているが、全ビルマ的な出来事であったため、すべての証言が尽くされているわけではない。また、ビルマ国内ではそもそも体験談を集めること自体不可能。そのような意味では、今回のワークショップは、規模の小さなものであるにしても、ひとつの重要な記録ともなる。

③8888民主化デモの背景
原因:ネウィン将軍(議長)率いるビルマ社会主義計画党(マサラ政権)の一党軍事独裁による腐敗、経済状況の悪化。

④8888民主化デモ前後の流れ
1987.9.05. 政府、3種の高額紙幣の廃止を発表。国民の財産が失われ、学生たちがデモを起こす。

1988
3.12. ヤンゴンで学生らによる大規模反政府デモ。死者数百人ともいわれる。その後徐々に学生の組織化が進む。

6.21 大学封鎖される。その後ヤンゴンで外出禁止令。

7.23 ネウィン、党議長を辞任。「命中するように撃つ」演説。セインルイン議長就任。

8.03 ヤンゴンに戒厳令布告。

8.08 学生・市民が戒厳令を無視してゼネストに突入(8888民主化デモ)。

8.09 ビルマ各地でデモ隊と治安警察が衝突。デモ活動、政治集会が全国的規模で活発化するいっぽう、弾圧による死傷者も急増する。

8.12 セインルイン議長辞任。

8.26 ヤンゴンの集会でアウンサンスーチー、はじめて演説する。

9.19 軍のクーデター。反政府デモ活動の徹底した弾圧が始まる。
(参考:田辺寿夫著『ビルマ民主化運動1988』梨の木舎)

⑤8888民主化デモの帰結「ビルマ問題の世界化」
・今に至る民主化運動のはじまり。
・新たな軍事政権の誕生。
・難民の発生。
・総選挙の実施。
・アウンサンスーチーの登場、国民民主連盟の結成・・・などなど。
⇒ビルマ問題の世界化(難民の拡散、メディアの関心、国際政治問題化、ノーベル賞)。

⑥軍事独裁政権下の生活 経済的問題、学生生活、監視と密告が常態の社会、政府の腐敗、賄賂の横行・・・

ポイント  質問はできるだけ具体的に。同時に相手を思いやって。
・地図、年表を手がかりに具体的に尋ねる。8888デモはいつどこからスタートしたのか? 軍の弾圧はどのようだったのか? ネウィンの演説のときどこにいて、何をしてた? クーデターの時はどうだった? 軍から逮捕や尋問、弾圧を受けたことがあるならば、それはどんな状況で起きたのか? などなど。

・数字も具体的に。年齢、日付、時間、価格、参加人数など。

・とはいっても、20年以上も前のこと、覚えていらっしゃらないこともあります。

・なかには思い出すのもつらい経験をした方もいるかもしれません。身を切るような思いで自分の体験を話さざるをえない状況もあることを忘れずに!

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。